Twitterはそこまで便利なものか?

災害時のTwitterの有用性について、疑問の声が出ている。
これについては私も全く同感。たしかにTwitterはユニークで便利なツールだけど、みんなが賛美しているほどの力は無いように思う。



(前略)


■速報が広まりやすいが、誤情報も広まりやすい


「災害時は不確かな情報でも速報が必要」などというバカもいるようだが、不確かな情報は不安を煽るだけだし、発言の前後関係を見出しにくいTwitterの構造は、誤情報に対する訂正情報が読まれる可能性が低い。誤情報によって既に起きてしまった行動を中止させる事が困難だ。


情報量は多いかもしれないが、ノイズの量も半端じゃない。危機が迫るときに、本当に必要な情報を選別するコストは馬鹿にならないと思う。


■電源が無駄・「ながら」ができない


大災害時に暢気にPCの前でTwitterを見ていることが出来るとは思えず、基本的にケータイによってTwitterのTLを見ていることになると思うのだが。


一台のケータイの画面を大勢で閲覧するとは思えず、多くの人が情報を得るためには、その人数に近いだけのケータイが必要となる。最近のケータイのバッテリは高性能になってきているとは思う物の、ネット接続時のバッテリ消費量は大きい。電池式のラジオなら一台で大勢の人が情報を得る事が出来るが、ケータイを通じたTwitterからの情報では難しい。


Twitterを見ている人の数」に等しいだけのTLが存在するので、正確な情報を得る事が困難だ。一緒に行動している人がそれぞれ異なる情報を持っているのは混乱の元だ。


また、ラジオによる情報収集ならば、何か他のことをしながらでも良いが、Twitterからの情報収集は、それが難しい。避難行動しながら聴く事の出来るラジオと異なり、画面を見たままで避難行動をとるのは(出来ない事はないかもしれないが)非常に危険だ。


「数分後に大きな津波が来ます」なんて情報を、Twitterから得ているような被災地の人は、まず助からないのではないか。


遠くから見ている人にとっては、リアルタイムで流れてくる大災害の様子を知る事の出来る便利ツールかもしれないが、今まさに命に関わる危機が押し迫っている被災地の人にとって、Twitterはほとんど役に立たないものだと思う。




上記記事の指摘に加えて、速報性の相反作用として、過去記事の検索性や情報蓄積力の弱さもまた、災害時におけるTwitterの大きな弱点のひとつ。
誰かが有用な情報を流したとしても、フォロワーの輪に入ってない人にはなかなか伝わらないし、フォロワーであったとしてもその情報は、それこそあっと言う間にTLの彼方に押しやられてしまう。
そうした状況を回避するため、良記事は皆でRTすれば良いという意見もあろうが、それをすると今度は無駄にRTばかりが増えて、TLが重複記事で埋め尽くされてしまう。


結局、大災害時の緊張と興奮で皆がつぶやきまくっている状況下では、Twitterは井戸端擬似チャットとしての機能は果たせても、ナレッジベース的な有用性を発揮することは出来ない。


実際、震災直後からホリエモンこと堀江貴文氏が安否確認のRTを飛ばし続けていたが、それが果たしてどれほどの効果を発揮したことやら。
被害が比較的小さかった首都圏ならば話は違うだろうが、携帯電話すら繋がらなかった仙台近辺から返ってくる応答はほとんどなく、ただいたずらにTLがRTで埋め尽くされ、肝心な情報がどんどん流されてゆくだけの結果に終始していた。



怒られそうなことを敢えて言う


ホリエモンへの安否確認RT拡散依頼って、みんな、いつまでやる気なんだろう?
TLが「安否確認・拡散希望」で埋め尽くされて、いい加減、嫌気がさしてきた。


特に70歳や80歳のご老人の安否情報なんて、Twitterで聞いても分かるわけ無いやん。
じーさまばーさまがTwitterやってる訳ないし、仮に近くにやってる人がいたとしても、
現地、携帯すらまだ復旧しきれてない状況でしょ?


なんかさ・・・言いたくはないけど、単に「有名人にRTされてみたい!」人とか、混じってない?
本気で心配してる人も、もうちょっと冷静になった方がいい。
堀江にRTしてもらったら情報が得られる、なんて、Twitterはそこまで万能じゃないよ。
(当の堀江氏もそろそろ、RTしてもキリが無い&意味がないことに気付き始めているようだし)


by Tonapa 2011/03/14 1:19:43 from web




では、Twitter以外に何が使えたか、というと、他に使えるツールは無かった、と思う。
むしろ斯様な大混乱の下においては、ネットよりも既存のTV放送や電話会社が設置した伝言ダイヤルシステム*1の方が有用であるように思う。
そういう点ではマスメディアが果たすべき役割はまだまだ大きいのではあるが・・・NHKはともかく民放各局の動向が、毎度の如くであったのは残念至極である。

*1:無論、これらが機能するのは、電話網がある程度復旧した後での話だが