やっちまったな、ネコメガネ

ネコメガネとは、仙台のドリームコンタクトによる激安メガネのブランド。ここ最近で一気に知名度が上がってきたその理由は、ネット通販限定ながら、レンズ+フレーム+ケース+クロスで \1,980 というビックリ価格。
いやぁ、ビックリ、ビックリ! って、私がビックリしているのは価格ではなく、遂にタブーを犯したドリームコンタクトさんの度胸に、だけど。


あんまり知られてないのかも知れないけど、メガネ業界ってのは、実は超低原価率=超高利益率の世界なんですは。セットでン万円のメガネの原価が、実は3,000円前後なんて話は珍しくもない。
こう書いてしまうとボッタクリのようだが、さにあらず。
商品毎にレンズカットや個別調整が必要な職人商売な上、商品寿命が長く、そうそう飛ぶように売れるものではない為、需要と供給のバランスが取られた結果、自然にそういう価格帯に収まったという訳。
これは印鑑業界なんかでも同じやね。
世の中、ただ安ければ良いってモンじゃない。最低限、食って行ける価格を維持出来なければ、誰もメガネ職人にはなろうとしないし、メガネ職人が育たなければ、困るのは消費者の方なのだから。
商売には必ず適正価格というものがある。その適正価格を・・・このネコメガネは崩してしまった。しかも、大々的に。


一式で\1,980。
実際には、そんなに無理な価格じゃないと思う。
ネット通販オンリーだから、度数なんかは既製品チョイスのみで、診断・調整にかかる人件費はカットできる。
フレームは基本的に「腐らない」から、一括大量仕入れでコストダウン・・・あるいは、廃業した同業者の倉庫から、二束三文で買い叩いて来ることもできる。デザインの流行なんて2〜30年で一巡りするしね。保存状態さえよければ、バブル以前からのデッドストックを、二束三文どころか一山ナンボで仕入れてきてもいい。
レンズは超薄型非球面レンズに市場がシフトしているので、旧来型の在庫モデルを安く調達すれば良い。
で、こうして安価で集めた材料を、人の手ではなく機械で加工し、ザッと調整*1したら一丁あがり。
さて、これで原価はミニマムとなった。あとは幾らで売るかだけど・・・自分のところだけの利益を追求し、業界の将来を考えないのなら、\1,980は不可能じゃない。客だって喜ぶだろうし、メディアもこぞって「価格破壊だ!」と宣伝してくれるだろう。


でもね。


このネコメガネが引き金となって、メガネ業界の価格崩壊が始まったら、5年先・10年先に困るのは一体誰なんだろうね?
街角のメガネ屋が潰れたら・・・年寄り達は遠くの量販店で、あるいは不慣れなネット通販でメガネを買わねばならないだろうし、職人は育たないから、自分に合わせた微調整なんて無理。逆に、メガネに自分を合わせるぐらいの気持ちでないとダメ、なんて状況は発生し得るだろう。
でもまぁ、安いならそれでも構わない?
ちょっとぐらい不便でも、我慢できるから全然平気?
そう思う方はどうぞ \1,980のメガネをお買いになって、不便な思いをしながら、2年毎ぐらいで買い換えを繰り返せばいいだろう。
私? 私は自分用にカスタマイズされた3万円のメガネを、20年間、ずっと愛用し続ける方がいいなぁ。ええ、断然そっちの方がいいよ。


Tonapaは自サイトでは商売をしない方針につき、通販サイトを直接紹介するのは気が引けるのだけど・・・まー、興味のある方は下記リンクを参照のこと。
飛び先は楽天のネコメガネ通販サイトですので、あとはご随意に。


楽天市場】ネコメガネとは?:ドリームコンタクト
http://www.rakuten.ne.jp/gold/dreamcl/what_neko.html

*1:店頭だとここで「ちょっとバランスが・・・」とか「左耳がキツいです」とか言われて何度も調整を繰り返すとこだけど、通販だから一発調整でおしまい。買った方も、安いし通販だからと、少々具合が悪くてもなかなか文句は言わないしね