シュレッダーが壊れる原因をまとめてみた

事務機器関連の修理の仕事をしていて、よく出くわすのがシュレッダーの故障。
特に最近は家庭用の小型シュレッダーを持ち込んでくる人が多いので、特に多い故障原因について、簡単にまとめておく。


▼過投入によるギアやモーターの破損
いまのところ、これが一番多い。
本人は「そんなに大量に入れてない」と言い張るケースがほとんどだけど、紙って厚みが出てくるとかなり固くなるからね。
たとえば、ハサミで重ねた紙を切る時。1枚、2枚、3枚ぐらいまでは平気でも、4枚、5枚・・・となると、急激に固く感じてくると思う。
シュレッダーってヤツは、本体内蔵の小さなモーターで、このハサミを2〜30本、同時に動かしているようなものだから、そこに掛かってくる負荷は見た目以上のものになる。
メーカーが掲げている最大裁断枚数は、瞬間的に裁断できる限界ギリギリ*1の数値だから、これをほんのちょっとオーバーしただけでも、ギアやモーターがぶっ壊れてしまう可能性は十分にある。
特に家庭用の小型機は、軽量・安価にするためにギアがプラスチック製の場合が多いからね。負荷に負けてギアの歯が飛んでしまったら、もうそのシュレッダーはお陀仏である。


あと蛇足だけど。定格にしろ最大にしろ、メーカー表示の「裁断可能枚数」とは、ほとんどの場合、A4サイズのコピー用紙を基準にしてる。いくら10枚切れると書いてあるからといって、ハガキ10枚を一度に突っ込んだら、すぐに壊れてしまうので念のため。


▼粘着物や異物投入による裁断能力の低下
シュレッダーは刃物である、という現実を忘れないように。どんな高性能な機械でも、刃にシールやガムテープがへばり付いたら、全く切れなくなってしまう。ダイレクトメールのタックシールや宅急便の送り状なんかは、けっこう刃にくっつきやすいので特にご注意を。
実際の修理で酷いケースになると、噛んだ後のガムがベタベタにくっついている事も。シュレッダーはゴミ箱じゃない。何でも放り込むのはやめてくれ〜!


粘着物についで多い異物投入がビニール類。カッターではなかなか切れにくく、ビニョーンと紐状に伸びて、グルグルに巻き込んで詰まってしまう。通販カタログ用の封筒とかがでビニール製のものがよくあるけど、こういった類のものは、決して裁断してはいけない。


クリアフォルダや下敷き、使わなくなったプリペイドカードなんかも、大量に処理するとカッターの刃を摩耗させる原因となる。
もっとも、最近ではCD−ROMとかも切れるメディア対応機が普及してきているので、一概にダメとも言えないんだけどね。明らかに紙専用機だと分かっている場合は、ご注意召されよ。


▼勝手な分解・清掃
シュレッダーは単純な構造をしている割に、調整がけっこうタイトだったりする。特に上下合わせて100枚近いカッターは、噛み合わせ*2や相互クリアランスの微調整が必要だし、切り屑や紙粉がギアに挟まったりすると、それだけで能力低下を引き起こしてしまう。
素人考えでの分解・清掃はご法度。自分でフタを開けてオジャンにするぐらいなら、面倒でも修理に出した方がいい。


▼爆発・炎上
最後に、これだけは絶対にやっちゃダメなこと。
シュレッダーが詰まったからといって、エア・ダスターで掃除したり、屑を吹き飛ばしたりしないように。あるいは切れが悪くなったからといって、潤滑スプレーを吹きながら使用する、などという行為も言語道断である。
どちらもシュレッダーの爆発事故に繋がって、マジで危ない。


ひと昔前のスプレー缶はフロンガス使用で不燃性だったけど、いま売られているスプレーの大半は、地球環境に配慮して可燃性のLPGガスを使用している。
シュレッダーのボディは屑や紙粉が飛び散らないよう、高い密閉性が保たれており、ここに吹き付けた可燃性ガスが滞留すると・・・モーターやギアが回るときの小さな火花で、ボン!と爆発してしまう。
私はこの爆発事故を起こした機械を、都合5台、目にしている。どれも見事にバラバラ。ガスの爆発力、侮りがたしである*3


以上、思いつくまま色々とまとめてみたけど、何かしらの参考になれば幸い。
意外にモロくて繊細なシュレッダー。ダダーっと処理したい気持ちは分かるけど、焦らず、ゆっくり、労りながら、大事に使ってあげてくださいな。

*1:ちなみに安定して連続裁断できる枚数は、「最大」ではなく「定格」と表示されている。大量・連続処理を前提としている人は、最大枚数よりも定格枚数が大きい機種を選ぶといいだろう。

*2:ロスカット機の場合は特に噛み合わせが大事。これがズレると正しく縦横に切れず、屑が繋がって出てくるようになる。

*3:いずれのケースも幸いにして大怪我に繋がることはなかったみたいだけど、それでも怪我をしたりヤケドをしたりと、皆さんそれなりに痛い目に合われているみたい。