性犯罪裁判とジェンダー差

上の書き込みをふまえて、気になる記事を一点。
青森地裁で懲役15年(求刑通り)の判決が下された、全国3件目の裁判員裁判について、産経ニュースに寄せられた読者の意見より抜粋。

 《女性にとって強姦されるということは、死よりも辛く、悔しく、恥ずかしく、耐えがたい苦しみです》


 このようなメールを寄せた女性は《検察の求める懲役15年ですら、短すぎます》と、強盗強姦罪の法定刑の上限である無期懲役を選択。《強姦罪に対する判決の現状は甘すぎます。それは、男性社会の視点でしか裁かれていないからです》としたうえで、今回の事件の裁判員6人のうち5人を男性が占めていたことに疑念を呈した。


(太線強調は引用者による)



検察側求刑でもまだヌルい、という厳しい意見。
性犯罪に対する国民の目がそれだけ厳しい、という現実を表す好例だろう。
ただ一点、気になるのは「男性社会の視点でしか裁かれていない」という主張。そこでジェンダーな話を持ち出しちゃうのはどうかなぁ?
女性だから男性だから、と、性差によるバイアスの疑念を持ち始めたら、それこそキリが無くなる*1話だと思うよ?
こういう部分は裁判員制度の、今後の問題になって行くかも知れないね。


ちなみに記事では、上記引用部に答えるカタチで「読者からの意見を見る限り、量刑判断に男女の性差はあまりなかった。」との結果を提示している。
また、前向きに考えるならば、確かに男性には女性の気持ちは分からないかも知れないが、性犯罪の再発性の高さについては体感的に理解できる。
現行裁判員制度の選任手続上、単純に男女比を5:5とはし難い以上、ジェンダー・バイアスについては、こうした“公人としての前向きな判断能力”に期待する他に手は無いんじゃないかな。

*1:この点にこだわり始めたら、「痴漢容疑の裁判だったら、女性裁判員を少数にせねばならないのか」「嫁・姑間で人間関係がこじれた事案への対応は?」「暴行犯への感じ方だって、性差はある」と、本いくらでも突っ込みどころは出てくる。