乙嫁語り1巻

代表作『エマ』にてその名を馳せた森薫の新作コミック。
具体的な国名は示されていないが、今回は19世紀頃の中央アジアが舞台・・・って、もうここら辺から森女史の趣味性大全開ですなぁ。
いや、気持ちは分かる。分かりますとも。私も中央アジア、結構好きなんよね。
といっても熱心に研究(?)していたのは大学生の頃の一時期限りで、好きだけど実はそんなに詳しくはない*1んだけど。


物語はまぁ順当に面白いと思う。
基本、一話完結で、まだ第一巻だけに劇的なストーリー展開は少なめ。
なのに私の場合、手にとってから読了するまでに1時間半ぐらいかかってしまった。
理由は描き込みのもの凄さ。特に民族衣装なんかは、見とれてしまうぐらいに。
もちろんコマによっては適当にデフォルメされたり省略されたりしてるけど、ページ全体の情報量は圧倒的。ここまで来るともう、コマ漫画というよりは、一枚もののイラストの連続だ、と言ってしまっても良いんじゃないかな?
「へぇ・・・森薫ねぇ。どんな作家だろう?」と思った方は、下記インタビュー記事を参照のこと。イラストの執筆動画もあります。


コミックナタリー Power Push - 乙嫁語り / 森薫
http://natalie.mu/comic/pp/otoyomegatari


描き手がそこまで情熱込めるんだったら、読む方も本気で読むしかない。
時にはひとコマを5分近くかけて味わったりしながら、噛みしめるように読み続けて1時間半。でもこの作品には、それだけの時間をかけて読む価値があると思う。
ああ、今から2巻が待ち遠しい。
未読の方、老若男女問わず、オススメです。

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

*1:実際、学んでたのは半年間ぐらいかな? その後、研究対象がカスティーリャ王国アラゴン王国を中心としたレコンキスタ以降のイベリア〜地中海沿岸史にシフトしちゃったんで、中央アジア方面は、正直、専門外。