裁判長!ここは懲役4年でどうすか、読了

裁判員制度の開始に伴って、一時期話題になった裁判傍聴記。
北尾トロといえばどちらかってーと、アングラ方面の妖しいルポが得意という印象だったんだけど、蓋を開けてみれば何てことない、いつも通りの北尾節全開ではないか。
野次馬精神に根ざしつつ、しかしふとしたキッカケで人情的な揺らぎを見せる北尾の視点は、ちょっと下世話な庶民の最大公約数的であって、読んでてけっこう引き込まれて行く。まさに大衆週刊誌向きの文章やね。この本も「裁判がテーマだから」と真面目くさって読むよりは、通勤電車の中や昼休みなんかに、ちょいちょいと拾い読みするのに向いている。
描かれるエピソードは数多いが、被告人の服装(不思議とそのほとんどがジャージなんだそうな)に着目した話と、いちいち裁判官のリストとかまで作っている常連マニア達の話が、特に印象に残った。
なるほど、裁判傍聴の世界は奥深いようで・・・。

裁判長! ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

裁判長! ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)